「幼なじみ」

 

2020年7月号掲載 

水彩31×41cm

 

梅雨を間近に控え、薄日でもありがたく思えた。ここは小町通りと若宮大路を結ぶ路地。初老の男性が路地を抜けようとしているところへ、同じ年恰好の男性がやってくる。知り合いのようだ。挨拶を交わして分かれていく。ひょっとしたら幼なじみかもしれない。顔を合わせるだけで互いを理解しているらしいから。

 薄日は二人に、若葉の桜にも、傾いた塀にも、みんなに届いていた。