「風が運んだ哲学者」 水彩画 36×41cm

風が運んだ哲学者」  黒川 明

       2022年12月号掲載

  

神社の銀杏がすっかり色づき、風にはらはらと散るのは山のクヌギだ。その葉が階段を下りる足元に降ってきた。まるで羽毛のように軽々と舞い降りて、なのに地上では音を立てて転がった。

階段を下ると小学校の脇を駅へと向かう。大きなスズカケが道に張り出している。その大きな葉が舞い落ちてくる。転がって道の端に移動する。そこにうずくまるように沈黙した。何をか考えているのか、と思うような一枚だ。

気が付いたら、拾い上げていた。