「遠い日」

2020年5月号掲載 アクリル F50号

 

 新型コロナウィルスで絵画教室も自粛して二ヶ月、人ごみを避けている。作品は去年のものだ。侯爵家別邸であったという鎌倉文学館は、重厚かつ洒脱、バラ園の華やかさに負けない存在感だ。

 建物は二面を描けとよく言われる。平面的にならないようにという戒めだ。この作品では凹凸を強調すると同時に、室内を暗示して奥行きを表現することに努めた。もっとも、この建物自体が持つ、歴史の奥行きが絵を助けてくれているのかもしれない。