鎌倉朝日連載「スケッチ日和」

  十二所より」 水彩 46×61㎝

十二所より」  黒川 明

       2026年2月号掲載

  

十二所は何回か描いている。途中は暗く寂しい山道だ。土手から垂れている水が凍っている。マヒワだろうか、黄緑色の小鳥の群れが崖を飛び回っていった。

いつか描いた果樹園を越えて上へ上へと進む。細い峠道を行くと、少し開けた場所へ出た。鎌倉の市街地が小さくあって、そしてその先に富士がくっきりと見えている。素晴らしいじゃないか、と声が出た。富士はもちろんだが、見えているすべてに言ったつもり。ふと出た、幸せなつぶやきだった。