「秋韻」
2021年11月号掲載
水彩画 50号F
滑川には絵になる橋がいくつか架かっている。東勝寺橋もその一つ。橋を川から描くのは難しい。橋は川を渡るためにある。目は川をたどり、橋を素通りして奥へ進む。そして行ったきり戻ってこないことが多い。目を橋に誘導するための装置が必要だ。ちょうど欄干から蔓植物がのぞいている。これを伸ばすことにした。
風が吹いた。色づく草木に加え、風やせせらぎの音にも秋を感じる一日だった。陽光が少し揺らいで、岩の色さえ秋なのだった。