鎌倉朝日連載「スケッチ日和」

  散在ヶ池」 水彩 46×61㎝

散在ヶ池」  黒川 明

       2025年10月号掲載

  

散在ヶ池は今泉台にあり鎌倉湖とも呼ばれている。小鳥の声と風の音しか聞こえない静かな池だが、春にはその周囲にソメイヨシノや山桜が咲いて華やかになる。

その桜も10月には葉を落とし、波一つない水面が青く澄んだ空を映していた。傷んでしまったのか桜が一本、幹の途中でバッサリと切られ、必死に生き延びようとするかのように、残った枝を四方八方に広げていた。

前立腺癌の身だが、ひとり頑張る桜を応援したくなった。