「富士山」

2019年2月号掲載 水彩31×41

 

 二月号には逗子か材木座あたりからの富士を描こうと決めていた。

 夕暮れはたちまちに色彩が変わってゆく。とてもスケッチが追い付かない。何枚も写真を撮り、構図取りだけをしてどのように描こうか迷っていた。

 ところが、晴天が続いた三が日はすっかり風邪をひいてしまい、文字通りの寝正月となってしまった。寝ていると、いくつも絵が浮かんでくる。そのどれもが制作途中のものばかりだ。けれど、構図、色彩構成、マチエールを深く考えることができた気がする。

 この作品の、特に色彩は風邪が与えてくれたのかもしれない。