鎌倉朝日連載「スケッチ日和」

  「浄智寺」 水彩 46×61㎝

浄智寺」  黒川 明

       2024年11月号掲載

  

浄智寺は北鎌倉駅に近い臨済宗の寺。入口には小さな石橋がかかり、山門と鐘楼門に続く。周囲を木々が覆い、秋には鮮やかな彩りに包まれる。十一月末からが見頃だ。

鐘楼門を左右の真ん中に描きたいと思った。中央に目立つものを描くなと言うが、左右の空間を大きく変えればよい。改めて見れば、参道の右側は空が開け、左側は大木が密度を増している。実に具合がよい。

構図は決まった。漂う特別な空気を、思い切り吸い込んだ。