鎌倉朝日連載「スケッチ日和」

  「磯」 水彩画 36×51cm

」  黒川 明

       2024年2月号掲載

  

 江の島は7万年ほど前に隆起して浸食と隆起を繰り返しているそうだ。そのためか、周囲の岩場は変化に富んでいて深い淵もあるという。東側の磯にはよくスケッチに行く。位置によって稲村ケ崎や逗子葉山を背景に背負う。

今回は表磯の釜の口でスケッチ。岩に打ち寄せる波が岩と岩との間の深みにのみ込まれて、渦を巻きながら再び盛り上がる。それはまるで呼吸だ。波も岩も生きているようだ。

この瞬間の背景には、7万年の時があった。